「もう新人じゃない」で、育成を止めていませんか?

基礎力・思考力
「もう新人じゃない」で、
育成を止めていませんか?
仕事に慣れた若手にこそ、基礎を学び直す機会を。
若手社員からの報告を聞いて、「それで、何を相談したいの?」と聞き返す。送られてきたメールを読んで、「誰に、何をしてほしいのだろう」と考える。そんな場面はありませんか。
仕事の手順は覚え、一人で任せられる業務も増えてきた。それでも、考えを整理し、相手に伝えるところでつまずいている。「もう新人ではないのだから、これくらいできてほしい」と感じるとき、本人が今の仕事に合った基礎力を身につける機会があったか、立ち止まってみたいのです。
この記事の要点
- 任せる仕事が変われば、基礎力を使い直す機会も必要になる。
- 書く・伝える・話す・考える力を、実際の仕事につなげて学ぶ。
- 研修、職場での実践、振り返りを重ね、スキルの定着を支える。
新人研修で学んだ基礎は、そのまま使えますか?
入社したばかりの頃は、教わった手順を理解し、正確に実行することが中心だったかもしれません。経験を積むにつれ、複数の案件を整理して報告する、相手の事情を踏まえて説明する、自分なりの判断を添えて相談するといった仕事が増えていきます。
同じ「報告」でも、求められることは変わります。起きたことを順番に話せばよかった場面から、今の状況、問題になりそうな点、判断してほしいことを選んで伝える場面へ。仕事の経験が増えるほど、基礎力の使い方も広がっていきます。
そこで必要になるのは、以前と同じ説明をもう一度聞くことだけではありません。今、実際に困っている仕事を材料にして、基礎を使い直す機会です。
「もっと簡潔に」だけでは、直し方が分からない
例えば、若手が書いた確認依頼のメール。情報はたくさん入っているのに、相手に何を判断してほしいのかが見えないとします。「もっと簡潔に」と伝えても、本人はどこを削ればよいのか迷うかもしれません。
そんなときは、文章を直す前に、次の三つを一緒に確かめます。
- このメールで、相手に何をしてほしいのか。
- その判断に必要な事実は何か。
- いつまでに返答が必要なのか。
「資料を確認してください」から、「A案で進めてよいか、本日15時までに判断をお願いします」へ。これは説明用の例ですが、依頼の目的を明確にすると、先に伝えることと、補足することを整理しやすくなります。
大切なのは、上司が完成文を渡して終えるのではなく、本人が直してみて、なぜ伝わりやすくなったのかを確かめることです。その経験が、次のメールや別の相手への説明にもつながります。
書く・伝える・話す・考えるは、仕事の中でつながっている
文章が長くなる原因は、書き方だけにあるとは限りません。考えが整理できていない、伝える目的が曖昧、相手が知っていることを想定できていない。こうした点が重なっている場合もあります。
人間力教育センターのビジネスベーシック研修では、基本スキル編で「書く力」「伝える力」「話す力」を学び、総合演習で組み合わせて使います。思考力編では、情報を整理し、視点や発想を広げ、課題に向き合うための考え方を学びます。
例えば、事実と自分の意見を分けて書く。関係が複雑な内容を図にして伝える。相手が判断しやすい順序で短く話す。それぞれの練習を、日々の報告、相談、会議での発言へとつなげていきます。
次の研修までの仕事も、学ぶ時間にする
研修中はうまく説明できても、職場では相手や状況が変わります。忙しい上司への報告、前提知識の異なる他部署への依頼など、演習とは違う難しさに出会います。
だからこそ、研修で学んだことを職場で試し、その経験を次の学びに持ち帰る流れをつくります。例えば、次のような進め方です。
- 研修で、自分の課題を確かめ、書く・伝える・話す練習をする。
- 職場で、実際の報告や依頼に学んだことを使ってみる。
- 相手の反応や、うまくいかなかった点を受講ノートに残す。
- 次の回で振り返り、講師や他の受講者からの意見を受けて、もう一度試す。
事前・事後課題や振り返り、総合演習を組み合わせるのは、学んだことを仕事で使えるようにするためです。複数回に分ける場合も、各回の間に何を試し、次に何を見直すかまで設計します。
できなかったことを、次の練習に変えられるか
振り返りで「うまくできましたか」と聞くだけでは、実践の中身が見えにくいことがあります。「どの場面で使ったか」「相手はどう反応したか」「次は何を変えたいか」と具体的にたどると、次に練習することが見えてきます。
そのとき、上司も一緒に支えられます。例えば、「今回の報告は、最初に相談事項が分かったので判断しやすかった。次は、その判断に必要な根拠も添えてみよう」と、できたことと次の課題を具体的に伝える。本人も、自分の変化を確かめながら取り組めます。
自分の課題を受け止めること。相手の立場を考えること。周囲の意見を聞き、やり方を見直すこと。人間力教育センターでは、こうした人間力の育成と、仕事に必要なスキルの向上を結びつけ、実践と振り返りを重ねる教育を大切にしています。
「もう新人ではない」は、育成の終わりではなく、次の学びを考えるきっかけです。
若手に任せたい仕事から、育成を考えてみませんか
報告をもっと分かりやすくしてほしい。自分の考えを添えて相談してほしい。後輩にも仕事の進め方を説明できるようになってほしい。まずは、若手にどんな場面で力を発揮してほしいかを、一つ挙げてみてください。
人間力教育センターでは、対象者の経験や現場の課題に合わせ、ビジネスベーシック研修の内容と、実践・振り返りの進め方をご提案します。研修の回数や時期が決まっていない段階でも構いません。「若手のこんな場面で困っている」というところから、ご相談ください。