人間力コラム

真実の目標には、すごいエンジンがついている    10. 5. 18

多くのビジネスマンは、教育制度や人事制度の中で何かしらの「目標設定」を立てている。
私の研修の中でも、目標を設定しアクションプランを立てるということはよく行う。
さすがに何千人もの目標設定を見てくると、ほんとに達成したい目標を掲げてそのプランを書いている内容と研修の最後のセレモニーとして書いている作文とはひと目で分る。

そもそも、目標とは何か?
考えてみれば会社から今年の目標についてあれこれと設定され、それについて自分が考える目標や達成方法を明確にしなければならないというこう構図は、どこか取調べをする警察が容疑者に自白を迫る様子に見えなくも無い。
そうした関係において自白は真実ではなく、警察が納得するものになる。
つまり、会社が納得する目標を当たり障りなく、そこそこ仕事をしていれば何とかクリアできるものが目標になってしまっている。

あなたは金メダルを取りなさい。と人から言われて、金メダルを目指すだろうか。
一生懸命がんばりましたが、私の能力では無理です。と途中で挫折してしまうのがオチだろう。
つまり、与えられた目標には達成能力が伴いにくいのである。
自らが達成したいと強く思うものが真実の目標だ。そこには、達成方法というシステマチックなものも必要だが、鬼気迫るものや執着や執念という人間力のエンジンがついている。
そしてそのエンジンは、いつ何時も積んでいるものだ。
月末や決算、納期が近くなって、よっこらしょと担ぐのは本物のエンジンではない。

会社は目標を強いるだけでなく、このエンジンをどうやって作るかを考える必要があるのではないだろうか。
ちなみに、偽物のエンジンは明文化するとピカピカで非常に見栄えがよいのに対して、本物のエンジンは、不恰好であったり無謀な内容だったりするもの。
最近、そういうエンジンを積んだ受講生が少ないのは寂しい限り。